2019-05-07 地震の予測マップ 内閣府・中央防災会議の言う南海トラフ巨大地震の「異常な現象」とは?今日の地震解説
常に最新記事なら [こちら最新!] をアクセスし、ブックマーク!
記事のアップは毎週、火曜・木曜・土曜の午前零時半頃になります。
= 最新地震情報5月8日(M3.0以上、震度1以上)です =
Yahooさん [4] より掲載(元データは [気象庁] さん)、マップ上★が震源位置
★ 5月8日02時59分、択捉島南東沖でM4.8、深さ10km、震度1。
★ 5月8日08時24分、宮古島近海でM3.9、深さ50km、震度2。
★ 5月8日09時20分、岩手沖でM4.4、深さ50km、震度4。アフタースリップ起因・スラブ内地震
★ 5月8日09時22分、青森東方沖でM4.3、深さ10km、震度1。
今日の地震解説: 内閣府・中央防災会議の言う南海トラフ巨大地震の「異常な現象」とは?
* 本日は、内閣府の [南海トラフ沿いの異常な現象への防災対応検討ワーキンググループ : 防災情報のページ - 内閣府] 、そこにある「南海トラフ沿いの異常な現象への防災対応のあり方について(報告)(平成30年12月25日公表)」なる項目をご紹介致したく。
と申しますのも、毎月報告している「南海トラフ評価検討会」(発表は気象庁)というのが、この「異常な現象」を追っているからです。 現在、異常な現象は観測されておらず、異常な現象が観測されない限り「定例会議」なのです。 しかし、異常な現象が観測されたら「臨時会議」となります。 今まで「臨時会議」は開催された事はありません。
ここで、異常な現象とは何か?についてまとめた資料が内閣府サイトにアップされており、pdfで:
[http://www.bousai.go.jp/jishin/nankai/taio_wg/pdf/h301225honbun.pdf]
* まず、全体の話として「南海トラフ地震防災対策水深地域の指定」なる資料が提示され:
があります。 この条件は基本ORでしょう、即ち:
・ 震度6弱以上の地域、又は
・ 津波高3m以上で海岸堤防が低い地域、又は
・ 周辺の市町村が連携することによって的確な防災体制がとれる地域、又は
・ 特殊な地形の条件等により過去南海トラフ地震で大きな被害を受けた地域
という事です。 このような判断は内閣府だからこそで、気象庁であれば後半三つのような判断はしません。
* 続いて「南海トラフ地震津波避難対策特別強化地域の指定」なる資料も掲載されており:
但し、ご注意下さい、今まで30cmの浸水となるのに4分〜5分と報告した地域はすべて含まれています。 30分と思わないで下さい! この地域にお住いの方は必ず各自治体さんのハザードマップで具体的な津波到達時間を確認して下さい、30分以下って一体何分?と。
* 話を元に戻します。 南海トラフ沿いの異常な現象への防災対応のあり方について、ですが、異常な現象が発生したら、次のフローで進める旨が書かれています:
臨時とは、南海トラフ評価検討会の臨時です(通常は毎月の定例)。
* では、この異常な現象とは何か?ですが、3ケースあり(これが本題):
1.半割れケース
南海トラフの想定震源域内の領域で大規模地震が発生し、残りの領域で大規模地震発生の可能性が高まったと評価された場合。
南海トラフ沿いにおける「半割れケース」を含む大規模地震の発生頻度は100~150年程度に一度。
2.一部割れケース
南海トラフ沿いでM7クラスの地震が発生した場合を想定する(東北地方太平洋沖地震発生の2日前にM7クラスの地震が発生したことと同様の状況)。
南海トラフ沿いにおける発生頻度は15年程度に1度だが、南海トラフ沿いにおける直近7事例では、その後大規模地震が発生した事例はない。
3.ゆっくりすべりケース
南海トラフの想定震源域内のうち東海におけるプレート境界面でのゆっくりすべりや、これまで観測されたことがないような大きなゆっくりすべりが見られた場合。
ただし、南海トラフでは前例のない事例であり、大規模地震発生の可能性が平常時より相対的に高まっているといった定性的な評価はできるが、現時点において大規模地震発生の可能性の程度を定量的に評価する手法や基準はない。
* では全割れの場合はどうか?というと、既に全領域で避難救助活動に入っており、評価検討会の臨時会議そのものが開かれない、と思います。
* 私は、東海におけるスロースリップを異常な現象と捉えている、とは知りませんでした。
現在、日向灘から四国東部沖にかけてスロースリップが断続的に観測されている訳ですが、これは異常な現象と言うほどの代物ではない、という事でしたか、なるほど。
そして被災地は今... [happy-ok3の日記] 地震・豪雨・台風と、被災地の現状をレポートするhappy-ok3 さんの考えさせられるブログです、関心を持ち続けて欲しい と。
= 以下、2019-05-07 迄データ1年分による本日の地震の予測マップ =
赤マークは東進圧力、青マークは西進圧力を示す圧力方向の解析表示です。
救急マークは海底プレート地殻内M5.0以上M5.5程度までの地震、救急マークが通常のM5.0以上地震を予測する注意ポイントで、6kmマップにあります。
[防災科学技術研究所 Hi-net 高感度地震観測網]、[気象庁|震源データ] を参照しています。
= 地震の予測マップ・ピッチ36kmマップです =
東進西進圧力表示・ピッチ36km予測マップです。
ピンクの小さな★マークは、南海トラフ巨大地震発生ヶ所で、西から、1854安政南海M8.4、1946昭和南海M8.4、1707宝永M8.6、1944昭和東南海M8.2、1854安政東海M8.4。
南西諸島・伊豆諸島・小笠原諸島におかれましては、上図圧力表示にてマークが出ている所にご注意下さい。 M5.0以上の発生可能性がある注意ヶ所となります。
= 地震の予測マップ・ピッチ6kmマップとポイント予測です =
東進西進圧力表示・ピッチ6km予測マップ東域です。 凡例は36kmマップと同じ。
次がポイント予測・東域 救急マークはM5.0からM5.5程度の地震注意、救急マーク がM5.0以上の発生予測注意ポイントです。
根室沖はM7.8〜8.5の確率が80%、三陸沖北部・日高南部沖・日本海溝西側の領域はM7.1〜7.6の確率が90%。 岩手沖・日本海溝東側の救急マークはアウターライズ地震に注意。 [海溝で起こる地震 | 地震本部] 発生確率は2018年1月1日を基準日として30年以内の発生確率です(以下同様)。
東進西進圧力表示・ピッチ6km予測マップ中域です。 凡例は36kmマップと同じ。
相模トラフ上は青マーク群で覆われており赤マークはありません。 これは関東大地震・関東大震災の再来について注意レベルであり危険レベルではない事を示します。
次がポイント予測・中域 救急マークはM5.0からM5.5程度の地震注意、救急マーク がM5.0以上の発生予測注意ポイントです。
相模トラフ北側の神奈川・千葉・東京・埼玉・茨城・栃木での救急マークは要注意、関東大地震・関東大震災の再来でなく、M6.7〜7.3の確率が70%(南関東直下地震)。 茨木沖・日本海溝東側の救急マークはアウターライズ地震に注意。 [海溝で起こる地震 | 地震本部]
東進西進圧力表示・ピッチ6km予測マップ西域です。 凡例は36kmマップと同じ。
南海トラフは、上に赤マーク群・下に青マーク群が出ると危険です。 現在全体として注意レベルですが、危険レベルではありません。
次がポイント予測・西域 救急マークはM5.0からM5.5程度の地震注意、救急マーク がM5.0以上の発生予測注意ポイントです。
南海トラフはまだ救急マークが少なく通常の注意レベル、日向灘はM7.1前後の確率が70〜80%。[海溝で起こる地震 | 地震本部]
ピンクの小さな★マークは、南海トラフ巨大地震発生ヶ所で、西から、1854安政南海M8.4、1946昭和南海M8.4、1707宝永M8.6、1944昭和東南海M8.2、1854安政東海M8.4。
現在南海トラフ三重・和歌山県境南東沖に出ているひとつの赤い救急マークは、日付20180829 M3.3 N33.45 E136.17 深さ30km の地震です。 30kmがプレート境界か?というと少し深い(フィリピン海プレート地殻内か?)と思います。
= まとめです =
* 2017年の放出エネルギーは過去最低 、2018年は上昇、2019年は減少に転じています [2019-04 ここ26年間の地震放出エネルギーの推移 - 地震の予測マップ] 。
* 2019年がどうなるか? もうしばらく見守る必要があります。
* ここで赤い救急マークは、M5.0以上の地震ヶ所をピンポイントで予測しています。
最後まで読んで頂き、ありがとう御座いました。
・ 東進西進の原理、東進西進の識別方法、等の説明はこちら。 [テクニカル事項]
・「地震の予測マップ」のデータ更新タイミングの説明はこちら。 [データ更新タイミング]
・ 国土地理院さん提供の地殻変動マップはこちら。 最新の地殻変動情報 javaがインストールされている必要があります。
・「太陽黒点数の推移を追う!」は別ブログへ。 [太陽黒点数の推移を追う]
= 以上です =
謝辞: 本予測は「気象庁・文部科学省が協力してデータを処理した結果」の「気象庁一元化処理震源要素」データ一年分(暫定)を「防災科学技術研究所」サイトよりダウンロードして解析しています。 [2] このデータによって初めて一般にリアルタイム解析が可能となったもので、構築にご尽力頂きました各国立大学、各官庁と関連する機関、都道府県と関連する機関、等の関係各位殿に深く謝意を述べさせて頂きます。
免責: 本予測は個人の推論によるもので、プログラムバグやデータ解釈ミス等も含め、ここで表示された結果について何ら責任を負うものではありません。
引用:
[1] スロースリップ - Wikipedia プレートがゆっくりと移動し大きな破壊を伴わずにエネルギー解放する現象ですが、プレート周辺には応力歪が伝搬され、これが原因で周辺では通常の地震が生じます。 「地震の予測マップ」ではスロースリップ起因の周辺地震を予測しています。
[3] 気象庁|震源データ
[6] 国立天文台 太陽観測科学プロジェクト 三鷹太陽地上観測