2019-04-11 地震の予測マップ 拡大する背弧海盆とは何か?今日の地震解説
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= 最新地震情報4月12日(M3.0以上、震度1以上)です =
Yahooさん [4] より掲載(元データは [気象庁] さん)、マップ上★が震源位置
★ 4月12日02時53分、沖縄本島近海でM5.0、深さ10km、震度1。
★ 4月12日03時50分、福島沖でM3.8、深さ70km、震度2。
★ 4月12日16時31分、父島近海でM5.6、深さ550km、震度1。
★ 4月12日20時13分、宮城沖でM3.4、深さ50km、震度1。
今日の地震解説: 拡大する背弧海盆とは何か?
* 本日は、背弧海盆について、です。 以前にも一度書いているのですが、私の理解が進んでおらず自分自身で書いていても、これは分からないな、と思っておりました。 今回、大分、分かってきたので再度まとめさせて下さい。 お付き合い頂けますよう、よろしくお願い致します。
* 英文を含めてWiki [背弧海盆 - Wikipedia] を参照します。
背弧海盆は数百〜数千kmの長さがあるが、これに比して幅は数百kmと狭いことが多い。
その多くは海溝にプレートを巻き込む力に対する巻き返しの反発力で生じたものである。
* マリアナ・モデル:
ここで最も一般的なモデルとしてよく取り上げられるのは、マリアナ背弧海盆で:
Back-arc basinが背弧海盆、Trenchが海溝。
①が拡大する背弧海盆中央の海嶺であり、この海嶺を生成する原動力は、 ②対流するアセノスフェアのマントル(Convecting Astheosphere)である。
Googleマップで見てみると:
・ マリアナ背弧海盆は中央に海嶺があり、現在これが東西に拡大し、北マリアナ諸島を東に押し出しています。
・ 四国沖からパラオに至る広大な四国海盆は、既に拡大を停止した背弧海盆で、中央南北に、かって拡大した海嶺跡が見えます。
・ 一方、現在拡大中の沖縄背弧海盆は海盆中央に海嶺は見られず、しかし南西諸島を南東へ押し出しています。 これはマリアナ・モデルとは異なるモデルなのです。
* オキナワ・モデル:
これは沈み込む海洋プレートのスラブが大陸プレートを前方に押し出すモデルで、スラブ・ロールバックと呼ばれる動作(以下そのシミュレーション)です:
www.youtube.comメルボルン大学で地球科学を担当されるLouis Moresi教授のYouTubeです。
左側に海洋プレート、右側に大陸プレートを想定しており、北海道から南を見ていると思えばOK。 但し、海洋プレートに島が載っており、日本列島にマッチする場所はありません。
ですが、大陸プレートが左に押されて海洋プレート上に覆い被さってゆく様子が分かります。 トンチ絵で失礼ですが、以下の如くです:
上記シミュレーションで火山は出て来ないのですが、必ず火山はフロントに存在するので追加してあります。
Googleマップで他の事例を見てみると:
どちらも既に拡大を停止している背弧海盆ですが、クリル海盆、日本海、共に海盆中央に海嶺の跡が見当たらず、これはスラブ・ロールバックによるオキナワ・モデル拡大であった可能性を示しています。
* まとめと考察:
・ 拡大する背弧海盆には、対流するアセノスフェア・マントルにより海嶺が形成され拡大するマリアナ・モデルと、海嶺は持たずにスラブ・ロールバックにより拡大するオキナワ・モデルがある。
・ どちらもフロントの島弧には火山列が生成される。
ここからは考察:
・ マリアナ・モデルでは海嶺は南北に走っており、南北に背弧海盆が伸びる場合にはマリアナ・モデルとなる。
・ 一方、東西に背弧海盆が伸びる場合には、オキナワ・モデルとなる。
・ マリアナ海溝は沈み込み角が深く、この場合に海嶺が中央に形成されるマリアナ・モデルとなり、一方、琉球海溝は沈み込み角が浅く、この場合に海嶺を中央に持たないオキナワ・モデルとなる、という可能性もある。
・ モデルの違いが、海盆が南北に走るか東西に走るかで決まるのか? 海溝の沈み込み角の深い浅いで決まるのか? 現時点では分からない。 別の理由かもしれない。
・ 背弧海盆は西太平洋に見られ、東太平洋には見られない、カルフォリニヤやペルー・チリには見られない特徴があります。 この辺り、理由は分かっていません。 背弧海盆の拡大メカニズムや、西太平洋のみでの生成理由など、興味が尽きません。 また進展がありましたらご報告致します。
・ 尚、背弧海盆における、マリアナ・モデル、オキナワ・モデル、は私の造語です。
長い事お付き合い頂きまして、ありがとう御座いました。
そして被災地は今... [happy-ok3の日記] 地震・豪雨・台風と、被災地の現状をレポートするhappy-ok3 さんの考えさせられるブログです、関心を持ち続けて欲しい と。
= 以下、2019-04-11迄データ1年分による本日の地震の予測マップ =
赤マークは東進圧力、青マークは西進圧力を示す圧力方向の解析表示です。
救急マークは海底プレート地殻内M5.0以上M5.5程度までの地震、救急マークが通常のM5.0以上地震を予測する注意ポイントで、6kmマップにあります。
= 地震の予測マップ・ピッチ36kmマップです =
東進西進圧力表示・ピッチ36kmマップです。
ピンクの小さな★マークは、南海トラフ巨大地震発生ヶ所で、西から、1854安政南海M8.4、1946昭和南海M8.4、1707宝永M8.6、1944昭和東南海M8.2、1854安政東海M8.4。
南西諸島・伊豆諸島・小笠原諸島におかれましては、上図圧力表示にてマークが出ている所にご注意下さい。 M5.0以上の発生可能性がある注意ヶ所となります。
= 地震の予測マップ・ピッチ6kmマップとポイント予測です =
東進西進圧力表示・ピッチ6kmマップ東域です。 凡例は36kmマップと同じ。
次がポイント予測・東域 救急マークはM5.0からM5.5程度の地震注意、救急マーク がM5.0以上の発生予測注意ポイントです。
根室沖はM7.8〜8.5の確率が80%、三陸沖北部・日高南部沖・日本海溝西側の領域はM7.1〜7.6の確率が90%。 岩手沖・日本海溝東側の救急マークはアウターライズ地震に注意。 [海溝で起こる地震 | 地震本部] 発生確率は2018年1月1日を基準日として30年以内の発生確率です(以下同様)。
東進西進圧力表示・ピッチ6kmマップ中域です。 凡例は36kmマップと同じ。
相模トラフ上は青マーク群で覆われており赤マークはありません。 これは関東大地震・関東大震災の再来について注意レベルであり危険レベルではない事を示します。
次がポイント予測・中域 救急マークはM5.0からM5.5程度の地震注意、救急マーク がM5.0以上の発生予測注意ポイントです。
相模トラフ北側の神奈川・千葉・東京・埼玉・茨城・栃木での救急マークは要注意、関東大地震・関東大震災の再来でなく、M6.7〜7.3の確率が70%(南関東直下地震)。 茨木沖・日本海溝東側の救急マークはアウターライズ地震に注意。 [海溝で起こる地震 | 地震本部]
東進西進圧力表示・ピッチ6kmマップ西域です。 凡例は36kmマップと同じ。
南海トラフは、上に赤マーク群・下に青マーク群が出ると危険です。 現在全体として注意レベルですが、危険レベルではありません。
次がポイント予測・西域 救急マークはM5.0からM5.5程度の地震注意、救急マーク がM5.0以上の発生予測注意ポイントです。
南海トラフはまだ救急マークが少なく通常の注意レベル、日向灘はM7.1前後の確率が70〜80%。[海溝で起こる地震 | 地震本部]
ピンクの小さな★マークは、南海トラフ巨大地震発生ヶ所で、西から、1854安政南海M8.4、1946昭和南海M8.4、1707宝永M8.6、1944昭和東南海M8.2、1854安政東海M8.4。
南海トラフ昭和東南海の震源位置に出ている二個の赤い救急マークですが:
Date: 20180423 M3.0 N33.47 E136.1 25km
Date: 20180829 M3.3 N33.45 E136.17 30km
これはプレート境界か?と思います(3.11で深さ24kmでしたから)
= まとめです =
* 2017年の放出エネルギーは過去最低 、2018年は上昇、2019年は減少に転じています [2019-03 ここ26年間の地震放出エネルギー推移 - 地震の予測マップ] 。
* 2019年がどうなるか? もうしばらく見守る必要があります。
* ここで赤い救急マークは、M5.0以上の地震ヶ所をピンポイントで予測しています。
最後まで読んで頂き、ありがとう御座いました。
・ 東進西進の原理、東進西進の識別方法、等の説明はこちら。 [テクニカル事項]
・「地震の予測マップ」のデータ更新タイミングの説明はこちら。 [データ更新タイミング]
・ 国土地理院さん提供の地殻変動マップはこちら。 最新の地殻変動情報 javaがインストールされている必要があります。
・「太陽黒点数の推移を追う!」は別ブログへ。 [太陽黒点数の推移を追う]
= 以上です =
謝辞: 本予測は「気象庁・文部科学省が協力してデータを処理した結果」の「気象庁一元化処理震源要素」データ一年分(暫定)を「防災科学技術研究所」サイトよりダウンロードして解析しています。 [2] このデータによって初めて一般にリアルタイム解析が可能となったもので、構築にご尽力頂きました各国立大学、各官庁と関連する機関、都道府県と関連する機関、等の関係各位殿に深く謝意を述べさせて頂きます。
免責: 本予測は個人の推論によるもので、プログラムバグやデータ解釈ミス等も含め、ここで表示された結果について何ら責任を負うものではありません。
引用:
[1] スロースリップ - Wikipedia プレートがゆっくりと移動し大きな破壊を伴わずにエネルギー解放する現象ですが、プレート周辺には応力歪が伝搬され、これが原因で周辺では通常の地震が生じます。 「地震の予測マップ」ではスロースリップ起因の周辺地震を予測しています。
[3] 気象庁|震源データ
[6] 国立天文台 太陽観測科学プロジェクト 三鷹太陽地上観測