地震の予測マップと発震日予測

地震発生ヶ所をポイント予測し、度数分布から発震日を確率予測する

2019-05-14 地震の予測マップ 地震発生時における電離層全電子数GEONETデータTEC値とは?今日の地震解説

常に最新記事なら [こちら最新!] をアクセスし、ブックマーク!

 

記事のアップは毎週、火曜・木曜・土曜の午前零時半頃になります。

月曜日は、短い解説記事ショートショートをアップ致します。

 

= 最新地震情報月15日(M3.0以上、震度1以上)です =

Yahooさん [4] より掲載(元データは [気象庁] さん)、マップ上震源位置

 5月15日05時55分、北海道東方沖でM4.9、深さ10km、震度1

 5月15日14時24分、奄美大島北東沖でM5.5、深さ30km、震度3。

 5月15日21時38分、奄美大島近海でM4.2、深さ10km、震度2。

 5月15日21時39分、奄美大島近海でM3.4、深さ10km、震度1

 

 

 

今日の地震解説: 地震発生時における電離層全電子数GEONETデータTEC値とは?

 最近、はてなブロガーの「(id:zisinyosokutomoya)さま」から電離層の状況に関しまして何回かコメントを頂戴し、3.11の時の電離層全電子数異常を思い出しました。 それは Wiki [東北地方太平洋沖地震 - Wikipedia] にある記述で:

北海道大学教授の日置幸介によるGEONETGPSの連続観測網)の公開データを用いた調査では、地上局とGPS局を結ぶ経路がちょうど震源域上空の電離層における最大電子密度高度約300 kmと交差する局において電離層全電子数 (TEC) の変化を推定した結果、電子密度の増大が地震発生の約40分前から発生しており、これを地図面に投影すると20分前から地域の特定ができることが分かり、1994年北海道東方沖地震や2010年チリ地震でも確認されたことから「巨大地震の直前予知には有望な手法」だとしている

というものです。

 ここで電離層とは何か?というと、NICT電磁波研究所さんのページ [NICT 電磁波研究所 宇宙環境研究室 電離圏ワーキンググループ] より、まず、電離の生成があり:

地球の大気は上にあがるにつれて薄くなります。そこへ太陽の紫外線 (エネルギーの高い極端紫外線)が射すと、原子から電子が飛び出してイオンになります。 この作用を電離とよび、電子とイオンから成る気体は電離ガス(プラズマ)とよばれています、 電離圏はプラズマ状態の大気が濃くなった領域です。

そして電離圏のたかさとして:

電離ガスのつくられる割合は、電離されるガスの濃度と電離を引き起こす極端紫外線強度の掛け算になります。 高度があまりたかいと、太陽からの極端紫外線の強さは充分強いのですが、電離される気体の密度が薄くなります。 そのため電離ガスはあまり作られません。逆に、高度が下がりすぎると、電離される気体の密度は高くなりますが、 極端紫外線は途中で吸収されてしまい、やはり電離ガスはつくられません。その結果、地上から約200kmの高さに 電離生成のピークができます。電離ガスは拡散して、最終的に300km付近に電離圏の最も濃くなる領域が出現します。

とあります、なるほど、、、宇宙の徒然を楽しく語る・りおさん、またプラズマです!

 ここで、北海道大学教授の日置幸介先生の論文を参照しますとpdf で、[http://www.ep.sci.hokudai.ac.jp/~heki/TEC.pdf] :

f:id:yoshihide-sugiura:20190514080251p:plain

右の図の赤丸で示すGPS点から15番衛星(高度300 kmのSIPを青丸で示す)を見たときの、TECの地震前後の時系列。なめらかな曲線は鉛直TECを時間の二次関数で近似したモデル。地震の約40分前からTECが正の異常を示し、その大きさはSIP震源に近いほど大きい。

とあります。 私にはSIPの意味が今ひとつ分かりませんのと、「なめらかな曲線」というのが正常解に相当すると思うのですが、それは近似解である、というのが多少気になりますが、3.11発生の40分前から正の異常カーブとなっている、としています。

main shockは3.11発生時刻、UTは国際標準時(日本時間マイナス9時間)、縦軸はTEC値相当でしょう。

 ここで地震発生と電離層全電子数TEC値との相関は?と問えば:

1.地震が発生 TEC値に正の異常はあったか?

2.TEC値に正の異常が発生 地震は発生したか?

の両面が考えられますが、まずは1.に着目したいと思います。

NICT電磁波研究所さんのページ [NICT 電磁波研究所 宇宙環境研究室 電離圏ワーキンググループ] の右側にある 「緯度別全電子数(5地区、最新6日間)」[NICT Latest TEC] に飛ぶと:

日本上空における最新6日間のTEC値が表示されます。 ここで、5月10日8時48分発生の日向灘地震 M6.3北緯31.8° に着目しますと:

赤線は実測値、黒実線は27日間の中間値、黒破線は5日間の中間値を表します。また、各プロットは上から順に、 「緯度45°」「緯度41°」「緯度37°」「緯度33°」「緯度29°」における平均値です。 TECは国土地理院GEONETデータに基いて計算されています。

f:id:yoshihide-sugiura:20190514122141p:plain

水色の破線が今回の日向灘地震発生時刻です。

この観測値赤線に着目しますと、とりたてて地震発生時刻に正の異常があったとは思えません。 毎日午前9時辺りは上昇カーブとなっており、これは太陽による日常的な一日の変化であるように思えます。

 色々と考えれば:

・ 北海道大学の論文では、異常が検出された時間幅は1時間程度で正の異常値幅は2〜3TECU程度、NICTさんのグラフ表示では少々荒すぎる、やはり正常値を出して比較しないと異常は認識できないか

 地震発生前40分に異常を検出した、というタイムスケールは、リアルタイム応答にて求められる正常解(近似解)が大きな問題となるだろう、40分前というと疑似リアルではダメで本当のリアルタイムが要求される

 3.11はM9.1、5月10日日向灘地震はM6.3、と数万倍のエネルギー差があり、巨大地震でないと異常が検出されない可能性がある

 3.11では2日前に前震があったが、南海トラフ巨大地震で前震は期待できない事(前震の事例がない)を考えると、本事象は追う必要がある

等となり、後追いになりますが、目視による相関をチェックする程度であれば可能ですので、今後M6.X以上の地震が発生した際には、日本上空における最新6日間のTEC値グラフのアップを検討しようか、と考えております。 最後にも書きましたように、南海トラフでは前震が期待できない、が大きいです、たとえ本ブログの主旨にはそぐわなくとも(事後なので予測にはならない)ですが。

 

 世界レベルでのTECマップ [Trimble(USA)グローバルTECマップ[5分毎]] なるものも見つけまして、日向灘地震 5月10日08:48 JST前後の世界TECマップを見ると:

2019-5-10 08:41 JST

f:id:yoshihide-sugiura:20190515181643j:plain

 

2019-05-10 09:41 JST

f:id:yoshihide-sugiura:20190515181718j:plain
まぁ、取り立てて高いTEC値の雲に日本が覆われている感じはしません。 変化率となるとまた別かもしれませんが。 この世界TECマップも合わせて載せる事も検討致します。

お付き合い頂きまして、誠にありがとう御座いました。

 

 

 

 

そして被災地は今... [happy-ok3の日記] 地震・豪雨・台風と、被災地の現状をレポートするhappy-ok3 さんの考えさせられるブログです、関心を持ち続けて欲しい と。

 

= 以下、2019-05-14 迄データ1年分による本日の地震の予測マップ =

マークは東進圧力、マークは西進圧力を示す圧力方向の解析表示です。

救急マークは海底プレート地殻内M5.0以上M5.5程度までの地震救急マークが通常のM5.0以上地震予測する注意ポイントで、6kmマップにあります。

[防災科学技術研究所 Hi-net 高感度地震観測網]、[気象庁|震源データ] を参照しています。

= 地震の予測マップ・ピッチ36kmマップです =

東進西進圧力表示・ピッチ36km予測マップです。

f:id:yoshihide-sugiura:20190516001138p:plain

ピンクの小さな★マークは、南海トラフ巨大地震発生ヶ所で、西から、1854安政南海M8.4、1946昭和南海M8.4、1707宝永M8.6、1944昭和東南海M8.2、1854安政東海M8.4。

南西諸島・伊豆諸島・小笠原諸島におかれましては、上図圧力表示にてマークが出ている所にご注意下さい。 M5.0以上の発生可能性がある注意ヶ所となります。

 

= 地震の予測マップ・ピッチ6kmマップとポイント予測です =

東進西進圧力表示・ピッチ6km予測マップ東域です。  凡例は36kmマップと同じ。

f:id:yoshihide-sugiura:20190516001152p:plain

次がポイント予測・東域 救急マークはM5.0からM5.5程度の地震注意、救急マーク がM5.0以上の発生予測注意ポイントです。

f:id:yoshihide-sugiura:20190516001207p:plain

根室沖はM7.8〜8.5の確率が80%、三陸沖北部・日高南部沖・日本海溝西側の領域はM7.1〜7.6の確率が90%。  岩手沖・日本海溝東側の救急マークはアウターライズ地震に注意。 [海溝で起こる地震 | 地震本部] 発生確率は2018年1月1日を基準日として30年以内の発生確率です(以下同様)。

 

東進西進圧力表示・ピッチ6km予測マップ中域です。 凡例は36kmマップと同じ。

f:id:yoshihide-sugiura:20190516001221p:plain

相模トラフ上は青マーク群で覆われており赤マークはありません。 これは関東大地震関東大震災の再来について注意レベルであり危険レベルではない事を示します。

次がポイント予測・中域 救急マークはM5.0からM5.5程度の地震注意、救急マーク がM5.0以上の発生予測注意ポイントです。

f:id:yoshihide-sugiura:20190516001238p:plain

相模トラフ北側の神奈川・千葉・東京・埼玉・茨城・栃木での救急マークは要注意、関東大地震関東大震災の再来でなく、M6.7〜7.3の確率が70%(南関東直下地震)。 茨木沖・日本海溝東側の救急マークはアウターライズ地震に注意。 [海溝で起こる地震 | 地震本部]

 

東進西進圧力表示・ピッチ6km予測マップ西域です。  凡例は36kmマップと同じ。

f:id:yoshihide-sugiura:20190516001254p:plain

南海トラフは、上に赤マーク群・下に青マーク群が出ると危険です。 現在全体として注意レベルですが、危険レベルではありません。

次がポイント予測・西域 救急マークはM5.0からM5.5程度の地震注意、救急マーク がM5.0以上の発生予測注意ポイントです。

f:id:yoshihide-sugiura:20190516001313p:plain

南海トラフはまだ救急マークが少なく通常の注意レベル、日向灘はM7.1前後の確率が70〜80%。[海溝で起こる地震 | 地震本部]

ピンクの小さな★マークは、南海トラフ巨大地震発生ヶ所で、西から、1854安政南海M8.4、1946昭和南海M8.4、1707宝永M8.6、1944昭和東南海M8.2、1854安政東海M8.4。

現在南海トラフ三重・和歌山県境南東沖に出ているひとつの赤い救急マークは、日付20180829  M3.3  N33.45  E136.17 深さ30km  の地震です。 30kmがプレート境界か?というと少し深い(フィリピン海プレート地殻内か?)と思います。

 

= まとめです =

 2017年の放出エネルギーは過去最低 、2018年は上昇、2019年は減少に転じています [2019-04 ここ26年間の地震放出エネルギーの推移 - 地震の予測マップ] 。

 2019年がどうなるか? もうしばらく見守る必要があります。

 ここで赤い救急マークは、M5.0以上の地震ヶ所をピンポイントで予測しています。

 

という北海道東部沖の千島海溝沿いで、東日本大震災のようなマグニチュード(M)9級の超巨大地震が、いつ起きても不思議はないとの見方を示した。
北海道東部沖の千島海溝沿いで、東日本大震災のようなマグニチュード(M)9級の超巨大地震が、いつ起きても不思議はないとの見方を示した。
政府の地震調査委員「超巨大地震:北海道沖、M9地震予測 本州にも被害の恐れ」といった報道をするのであれば、注意喚起領域でM5.5クラスが来た時には「注意喚起情報」を出されるべきではないか、と思います。
政府の地震調査委員会

最後まで読んで頂き、ありがとう御座いました。

・ 東進西進の原理、東進西進の識別方法、等の説明はこちら [テクニカル事項]

・「地震の予測マップ」のデータ更新タイミングの説明はこちら [データ更新タイミング]

・ 国土地理院さん提供の地殻変動マップはこちら 最新の地殻変動情報 javaがインストールされている必要があります。

・「太陽黒点数の推移を追う!」は別ブログへ [太陽黒点数の推移を追う]

= 以上です =

 

謝辞: 本予測は「気象庁文部科学省が協力してデータを処理した結果」の「気象庁一元化処理震源要素」データ一年分(暫定)を「防災科学技術研究所」サイトよりダウンロードして解析しています。 [2] このデータによって初めて一般にリアルタイム解析が可能となったもので、構築にご尽力頂きました各国立大学、各官庁と関連する機関、都道府県と関連する機関、等の関係各位殿に深く謝意を述べさせて頂きます。

免責: 本予測は個人の推論によるもので、プログラムバグやデータ解釈ミス等も含め、ここで表示された結果について何ら責任を負うものではありません。

引用:

[1] スロースリップ - Wikipedia プレートがゆっくりと移動し大きな破壊を伴わずにエネルギー解放する現象ですが、プレート周辺には応力歪が伝搬され、これが原因で周辺では通常の地震が生じます。 「地震の予測マップ」ではスロースリップ起因の周辺地震を予測しています。

[2] 防災科学技術研究所 Hi-net 高感度地震観測網

[3] 気象庁|震源データ

[4] 地震情報 - Yahoo!天気・災害

[5] 過去巨大地震マップ - 地震の予測マップ

[6] 国立天文台 太陽観測科学プロジェクト 三鷹太陽地上観測

[7] こよみの計算 - 国立天文台暦計算室